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CHAPTER X
第五章
HEAT.

Fig.        
126 Linear Expansion of the Metals

金属の線膨張
金属の線膨張のデモと計測を示す。二つの金属製支点に支えられた金属棒(A)は、端部Bにおいてクランプでしっかりと締め付けられているが、他の端部では自由に動ける。自由端は、梃子の短い方の端Cに接している。長い方の端Dは、目盛りの付いた円弧の前を動く。  
127 Expansion in Volume

体積の膨張
物体が加熱せられると、体積が膨張することを示すものである。円環Aは、球Bが冷たいときには、自由に通過できるように作られている。球が炉で熱せられると、円環をもはや通過できないが、冷却してやれば、再び通過する。
128

129
Expansion of Liquids and Gases

液体と気体の膨張
液体や気体は、固体よりも大きく膨張する。その様は、もっと容易に、実験的に示すことができる。左は液体用で、たとえば水銀が用いられる。右の2回折れ曲がった管は気体用で、mは、気体の膨張の指標とする水銀である。  
130

131
Method of Making a Thermometer

温度計の製作法
一定の径の毛管を用意する。一方の端には球が吹き出され、他の端には漏斗が作られる。最初に漏斗がほぼ満杯になるまで水銀を満たすが、空気の抵抗と管の細さのせいで、球の中には入っていかない。次に球を熱すると、空気は膨張し、一部は水銀を通して泡の形で逃げる。次いで、冷却をすると、外圧により水銀が球の中に入っていく。これを繰り返すことで、球全体と管の一部が水銀で満たされる。
次には、全体を、水銀が沸騰するまで熱する。このとき、漏斗の部分を溶かして除去し、管を密閉する。これを冷やすと、水銀は下がってきて、右の図のようになる。その上部には真空が残される。
132 Method of Gradation

目盛りの付け方
温度計の管の部分には、第一に、融点と沸点がマークされる。
 ……
まず、融けつつある氷の容器に入れられる。氷と水の混合物の温度になるまで、たとえば、20〜30分放置し、印を付ける。
 
133 Boiling Point

沸点
次に、沸騰する純水の容器に入れる。数分経つと、水銀は膨張を止めるが、ここに沸点の印を付ける。  
134 Thermometer

温度計
温度計は、それこそ色々な材料で作られるが、水銀とガラスは、その膨張が一様なことから、水銀式が好ましい。
 ……
融点と沸点の間を、100等分すると摂氏式、80等分するとレオミュール式、180等分すると華氏式と呼ばれる。摂氏式では、融点がゼロとされる。
 ……
図は、摂氏式による枠に実装された温度計である。ここでは摂氏30度を示している。
135 Rumford's Differential Thermometer

ランフォードの差動温度計
二つの薄いガラス球A,Bからなるが、二カ所が直角に折れ曲がった細いガラス管で連結されている。適当な枠に取り付けられているが、水平部には管に平行に目盛板が付いている。ゼロ点は目盛の中央にあり、両方に向け目盛られている。球体全部とガラス管の大部分は空気で満たされているが、管の中に液体の小滴があり、端部を標示している。
二つの球の温度が等しいとき、標識nはゼロのところにある。一方が加熱されると、空気が膨張し、標識は反対側に動く。目盛は、通常の水銀温度計を使って付けられる。
 
136 Leslie's Differential Thermometer

レスリーの差動温度計
ランフォードのものに較べ、球が小さく、液体の部分が長い。ゼロ点は、管の鉛直部にある。従って、目盛は二重である。
137 Reflection of Heat

熱の反射
[熱の反射法則]
以下は、理論によって示唆され、実験によって確認された。
1.入反射面は、入射点において反射面に垂直である
2.入射角と反射角は等しい
図の装置が用いられた。
138 Reflectiong from Concaved Mirror

凹面鏡からの反射
凹面鏡とは、磨き込まれた球面あるいは放物面である。通常金属製で、熱線を単一の点に集中させるのに用いられる。実験には、放物面鏡が用いられる。
図においてnは熱せられた鉄、mは燐のかけらのような可燃物である。
139 Burning Mirror

着火鏡
図は着火鏡の使用法を示す。鏡はその光軸が太陽光線に平行に置かれ、これにより、鏡面に落ちた太陽光は焦点に反射し、そこに置かれた可燃物を着火するに十分な熱を生ずる。 
140 Reflecting Power

反射能力
ある物体に入射した熱は、二つの部分に分かれる。すなわち、吸収されるものと、反射されるものである。この分かれる割合は、物体の性質と表面の状態によって変わってくる。
 ……
図はレスリーによってなされた実験である。彼は沸騰した水の入った錫の箱を、放物面反射鏡の前に置いた。反射鏡に達した熱線は焦点Fに集まろうとする。しかし、焦点と鏡の間に物体の板を置き、熱線を遮ると、反射され別の所に焦点を結ぶ。これを差動温度計によって計測する。
 
141 Absorbing Power

吸収能力
熱源と反射鏡は、前の実験と同様である。今回は、差動温度計の一つの球体を焦点に置く。球体の表面は、測ろうとする物質でくまなく覆われている。このようにしてレスリーは、反射能が最も大きなものは吸収能が最も小さく、あるいはその逆であることを、示した。  
142 Conductivity of Solid Bodies

固体の熱伝導度
インゲンホウスは、図のような装置で、固体は物質により、異なる熱伝導度を持つことを示した。
長方形の容器があり、一つの面からは何本もの材質の異なる棒が突き出ている。棒は、金属、大理石、木、ガラスなどである。
インゲンホウスは、棒を華氏140度で融けるロウで覆った。次いで容器を沸騰する水で満たす。あるものは直ちに融け、あるものはゆっくりと、そしてあるものは全然融けなかった。
143 Conductivity of Liquids (Convection)

液体の熱伝搬性
(対流)
液体は、下方から加熱されると、その構成分子の循環によって暖められるが、これを「対流」という。  
144 Compensating Pendulum

補償振り子
補償振り子の製作は、金属の収縮・膨張の原理によっている。振り子が振動に要する時間は、振り子の長さによっているので、これを単一の金属棒で吊るなら、振れる時間は絶え間なく変化する。
この欠陥を克服し、振動の一様性を確保するため、さまざまな工夫が凝らされたが、最も重要なものの一つが、図の「ハリソンの格子振り子」である。
棒a,b,c,dは、鋼鉄製である。棒dは、パーツorのところは自由に動くが、パーツmnにはしっかり取り付けられている。hとkの棒は真鍮製であり、mnにもorにもしっかり取り付けられている。
各パーツが適切に調整されるなら、収縮の合計は膨張の合計に正確に一致し、振り子の長さは一定に保たれる。
 
145 Evaporation under Pressure

加圧下の蒸発
蒸発に与える圧力の影響を示す。曲がったガラス管の短い枝の方は閉じてある。そして水銀が入れられている。少量のエーテルを短い枝の中に入れてやると、忽ち、最上部Bにたまる。常温では、外気圧はエーテルが蒸発することを妨げる。
しかし、112度まで加熱した水の容器に入れてやると、エーテルは蒸気になり、管のABの部分を占める。このときの圧力は、大気圧に水銀ACの重さを加えたものになる。
管を引き抜き、冷ましてやると、エーテルの蒸気は凝結し、Bに現れる。
 
146 Evaporation in a Vacuum

真空中の蒸発
何らかの理由で気圧が低下すると、蒸発は極めて急速に起こる。気圧が完全になくなると、蒸発は瞬時に起きる。液体が蒸発しやすいものであるなら、蒸発は火薬の閃光のように瞬間的である。
図は、全く同じ条件で並べたトリチェリー管である。Aはただの真空であるが、Bには水を、Cにはアルコールを、Dにはエーテルを入れた。
 
147 Ebullition (Boiling)

沸騰
沸騰に関する法則である。
1.一定の圧力下では、各液体は決まった温度で沸騰する
2.一定の圧力下では、液体は沸点以上に加熱できない
 
148 Causes that modify theBoiling Point of Liquids

液体の沸点を変える諸原因
沸点を変える諸原因は以下である
1.異物の混入
2.圧力の変化
3.容器の性質
図は、第二番目の原因に関する実験である。エアー・ポンプで圧力を下げていくと、水は、常温でさえ沸騰する。
 
149 Franklin's Pulse Glass

フランクリンのパルスグラス
フランクリンのパルスグラスと呼ばれる道具である。中には水が封入されている。封入する直前に、アルコールランプで水を沸騰させ、空気を追い出す。冷却後、小さな球を手で暖めるだけで、沸騰が起こる。
150 Papin's Digester

パパンの圧力釜
開いた容器では、水を加熱しても、温度は一定以上に上がらない。一方、閉じた容器では、水もその蒸気も、非常に高い温度に達する。蒸気圧は、数気圧になるであろう。この事実を示す器具が、パパンの圧力釜である。パパンが、骨から栄養分を抽出するために発明した。
151 Elastic Force of Vapor

蒸気の弾性力
ダルトンは、図に示す装置を用い、華氏32度から212度(沸点)にいたる、水蒸気の弾性力を測定した。Aの管には水銀だけ、Bの管には加えて若干の水が入っている。全体はボイラーで加熱される。AとBの差が水蒸気圧である。  
152 Distillation

蒸留
ランビキ(ALEMBIC)、または、Stillは、蒸留に用いられる器具である。
最も通常のランビキを図に示す。ボイラーAがあり、カバーB(ドームと呼ばれる)を伴う。ドームの頂部には金属管Cが伸び出し、容器Sに入っている。Sはコンデンサー(凝結器)である。この管は「ワーム(虫)」と呼ばれ、コンデンサーSを通過した後、容器Dに導かれる。コンデンサーは、図のようなやり方で、冷たい水で満たされるようになっている。
153 Hygroscope

検湿器
木から僧侶の姿を彫り出す。軸aの周りを回転する厚紙の頭巾がある。軸は、首のところを通り、図の左の断面ABのような仕掛けにつながっている。軸aは、ゼンマイで捻られた猫のヒゲに取り付けられている。空気が乾燥すると、猫のヒゲはきつく巻き上がり、僧侶は、図のように、頭巾をとる。天気がしめってくると、逆になり、頭巾を被る。
このような器具は、動作が大変不安定であり、好奇のために用いられ、科学的な価値はあまりない。
154 Hair Hygrometer

毛髪湿度計
湿度計は、大気の湿度を測るもので、いくつかのものが考案されている。なかでは、毛髪湿度計がもっともよく用いられている。
 ……
この計器を使うにあたっては、針の読みと温度計の読みとから、正確な大気中の水蒸気量を、計算で求めなければならないことに注意する必要がある。

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