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CHAPTER U
第二章
MECHANICS OF LIQUIDS.

液体の力学


Fig.        
043 Principle of Pascal

パスカルの原理
図のように、ビンを水で満たし、栓をする。栓を内側に押すと、圧力は、それに接する分子に伝搬する。これらの分子は、次に、隣の分子を押す……、かくて、圧力は、ビンの中のあらゆる点に伝搬される。
044
Reaction Wheel

反作用車輪
液体がその圧力を、容器の壁に垂直に及ぼすという事実は、反作用車輪によって示すことができる。この車輪は、図のように、リング(n)の中を自由に回転する円筒状の垂直な管(C)で、上の方を支えられており、下端は回転軸受けになっている。軸受けのすぐ上で、管は立方体に繋がっている。立方体からは、図のように、先端が曲がった4本の管が伸びている。水が水槽から漏斗(D)に注がれる。すると、水は(C)を流れ下り、曲がった管の先端から流れ出る。そして、車輪は矢印の方向に回転する。
045
Pressure upwards

上向きの水圧
液体が、上向きの圧力を及ぼすということは、図のような装置で示される。この装置は、ガラスの管と、管の底にぴったり合わせることができる、動かせるガラスの円盤aからなっている。ひもbによって、円盤は管に密着せられ、そのまま水で満たされた容器に入れられる。ガラスの円盤は、水より重いにもかかわらず、底から上向きの水圧を受けているため、落下することはない。   
046
Pressure on the Bottom

底部への水圧
容器の底部にかかる圧力は、液体の重量によって生じるのであるが、容器の形状や満たされている液体の量とは無関係である。それは、圧力のかかる表面の、面積と液体の表面からの距離によって決まる。この法則は、図の装置によって証明される。
047
Pascal's Experiment

パスカルの実験
以下の実験は1647年にパスカルによって行われた。彼は、丈夫な樽の上面に、34フィートの細い管を取り付けた。樽を水で満たし、次いで管に比較的少量の水を注ぐことで、樽を破裂させることに成功した。この場合、垂直に働く圧力は、樽の直径やそれより大きな樽と同じ効果を、細い管で発揮したのである。
048
Hydraulic Press

水力圧縮機
等圧の原理はプレス(圧搾機)の仕組みに応用される。ここではたった一人の人間が、非常に大きな力を発揮することができる。 
049 Hydraulic Press

水力圧搾機(断面)
水力圧搾機の断面図である。両方の画の記号は、対応する同じ箇所を示す。等圧の原理により、力はシリンダーBとAの面積比で拡大される。また、梃子Oによっても増幅される。
050
Ocean Surface

海面
液体の表面は、あらゆるところで重力に垂直な場合、「レベル」である。小さな「レベル」の表面は、実用上水平面に一致する。巨大な「レベル」の表面は、地球表面の形状に沿って曲がっている。海洋の表面が湾曲していることは、渚から見える船が、図のようになっていることからわかる。    
051
Communicating Vessels

連通管
液体が、相互に連通された容器に入れられており、その表面がすべて同一の水平面にあるなら、それは平衡状態にある。 
052 Liquids of different densities

密度の異なる液体
密度の異なる液体が、連通管に入れられており、それらの高さが密度の逆数に比例しているなら、それらは平衡状態にある。
053 Equilibrium of heterogeneous liquids

異種の液体
密度が異なり、混合することのない液体が、同一の容器に入れられると、それらは、おのずと密度の順に並ぶ。すなわち、最も重いものが底に来る。おのおのの表面は水平になる。 
054
Water Level

水準器
「水準器」は、2点間の高さの差を決定するために用いられる器具である。それは2インチ半ないし3インチのブリキの管から成り、両端にはこれ直角に2つの硝子の管が差し込まれている。全体は、図に示すように、三本足の支持具の上に置かれているが、この支持具は「トライポッド(三脚)」と呼ばれている。カーマインなどの着色料で薄く着色された水が、ガラス管の一方から注入され、水平の管を流れて、もう一方のガラス管の同一の高さに達する。二つのガラス管の水面を連ねる視線は、水平な直線、すなわち、明らかに一定の高さの直線になる。器具の使い方は図を見れば明白である。
055 Spirit Level

アルコール水準器
大部分をアルコールで満たされ、両端を封じられた管である。わずかに曲げられており、水平に置かれると、気泡は中央にくる。   
056 Fountain
(jet d'eau)

泉(噴水) 
泉や噴水に水を沸き上がらせるのは等圧の原理である。これらに送られる水は、泉や噴水より高いところに位置する、天然または人工の貯水池に蓄えられている。貯水池は、泉や噴水と、天然または人工の導管で連絡され、管の中の圧力が、水を沸き上がらせたり、時にはジェットとして吹き上げたりする。  
057
Artesian Well

掘り抜き井戸
掘り抜き井戸なるものは、岩や様々なる地層を抜けて、水の供給層に達せしめる鑿孔により造られたものである。これらの井戸は、最初に用いられたところの、仏国のアルトワ(Artois)地方にちなんで名付けられた。……多数の掘り抜き井戸が、我が国(米国)においても掘られている。
058
Principle of Archimedes

アルキメデスの原理
ある物体が、液体に沈められると、物体はあらゆる方向から圧力をうける。しかし、その圧力は等しくない。……この原理は「アルキメデスの原理」と呼ばれていて、「液体に沈められた物体は、物体が置き換えた液体の重量に等しい重量を失う」と表現される。    
059 Cylinder and Bucket Experiment

円筒と容器の実験
アルキメデスの原理は、図に示される「円筒と容器の実験」によって見ることができる。中空の真鍮製の円筒容器bが皿秤の一方に取り付けられ、そこから真鍮の円柱aが吊されている。この円柱は、丁度容器を満たす大きさである。反対側の皿には、丁度これらと釣り合う錘が載せられている。ガラスコップを円柱aのところに置き、円柱が水没するまで水を静かに注ぐ。すると、錘の側の皿は下がるが、ついで円筒容器bに水を満たすと、天秤は水平になる。
060 Principles of Flotation

浮上の原理
浮上の原理は、図のような装置で見ることができる。いろいろな形のものが、子供のおもちゃとして売られている。
丈の高いガラスの円筒容器で、上に真鍮の筒Aが固定されている。その中には、気密のピストンがあり、手で上下することができる。容器は部分的に水で満たされており、中空の陶器やガラス製の、軽い、たとえば、魚が封じ込められている。魚には球形のガラスmが取り付けられ、空気で満たされている。また、孔oが下部に開いている。圧力の増減に伴い、水が流入出する。
061 Swimming Bladder of Fishes

魚の浮き袋
多くの魚には、背骨のすぐ下に、空気で満たされた袋がある。これは「浮き袋」と呼ばれる。
062 Hydrostatic Balance

静水バランス
任意の物体の比重を得るには、同一の体積の華氏39.2度の蒸留水の体積を求めればよい。

1.静水バランスによる方法
 空気中と蒸留水中の物体の重量を計測する。
 
063
064
065
Nicholson's Hydrometer

ニコルソン比重計
2.ニコルソン比重計による方法
 中空のガラス管でできており、物体を空中の皿に置いた場合と、水中の皿に置いた場合とを比較して比重を求める。

3.フラスコによる方法(図なし)
066 Hydrostatic Balance

静水バランス
以下は、液体の比重を求める幾つかの主要な方法である。

1.静水バランスによる方法(図なし)

2.華氏ハイドロメーター
 底部に水銀を入れバラストとしたガラス管である。図のように上端には、秤皿がある。

3.フラスコによる方法(図なし)
   
067 Beaume's Areometer

ボームの比重計
ボームの比重計は、ガラスの球からできている。下側には第二の球があり、水銀によってバランスをとっている。球の上の方向には、断面が一定の管が取り付けられている。  
068 Alcholometer

アルコール濃度計
アルコール濃度計も、比重計と同様の構造をしている。これには目盛りが付けられ、アルコールと水の任意の混合物の濃度を示す。 
069 Lactometer

乳比重計
乳脂計はボームの比重計に全く良く似ており、牛乳の純度を測るのに用いられる。純粋な水から、純粋な牛乳に至るまでが計測できるよう、目盛りが刻まれている。

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