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第十章
ELECTRO-MAGNETISM.
電磁気

Fig.        
293 Action of an Electrical Current upon a Magnet

電流の磁石への作用
エルステッド(Ersted)は、電流が磁針に指向性の力を及ぼすことを発見した。その力は、本来の方向に対して、常に右向きである。
294 Action of Magnets upon Current

磁石の電流への作用
アンペール(Ampere)には、電磁気現象の広範な発見が負っているところであるが、電流が磁気に及ぼす作用を規定する法則の簡潔な表現を与えた。 ………
彼は、次の原理を確立した。
1.磁石は電流に指向性の力を及ぼす
2.地球は、磁針に対して巨大な磁石のように作用するのだが、
  可動性の電流に対し同様に作用する。
このことは、図の装置で示される。電流を切った状態で、輪が磁気子午線に一致するように置かれたとする。次いで、電流を流す。すると、軸の周りを緩やかに、子午線に対して右回りに回転する。輪の下部の電流は、東から西に流れることになる。
 
295 Double Helix Coil

二重螺旋コイル
3.二つの平行な電流は、同一方向に流れる時には引き合い、
  反対方向に流れるときには反発し合う。
4.線を図のように二重螺旋に巻き、先端を図294のように
  水銀のカップに保持すし、電流を通すと、コイルは磁針のように
  南北を指す。電流が矢印の向きなら、aが南方性磁極になり
  南を指す。
 
296 Galvanometer

ガルバノメーター
ガルバノメーターは、電流の強さを測る装置である。最も単純には、磁針abと、それを長手方向に取り囲む誘導ワイアーからなる。
297 Galvanic Multiplier

高感度ガルバノメーター
高感度ガルバノメーターは、大変に敏感なガルバノメーターであるが、上述のものと、原理的には同一である。
298 Magnetizing

磁化
鉄の棒の周りにワイヤーを巻き付け、電流を通すと、直ちに磁石になる。  
299 Electro-Magnet

電磁石
電磁石は、電気を利用する磁石である。
一般に軟鉄でできており、馬蹄形に曲げられている。それぞれの枝には、膨大な数のワイアーのコイルが巻かれている。ワイアーは、絹で絶縁されている。
300 Sustaining Power

支持力
 ………
このようにして、とてつもない力を持った磁石が造ることができるようになる。実際、10人あるいは12人の人間の重量を支えるぐらい強力な磁石が造れる。図は、偉大な支持力を展示するために、磁石の細部を組み合わせる方法を示す。
301 Dispatching a Telegram

電報を送る
本図は電報の送り方を、次図は電報の受け方を示す。どちらの局においても、装置は瓜二つであるが、二重になっている。つまり、送信機と受信機の二つが備わっている。この二つは、詳細が、後ほど図示される。
机の下には、電流を供給する電池がある。電流は電線Pによって、送信機に導かれる。そこからガルバノメーターgに入るが、電流の通過を針によって示す。それから保安器Mを通り、電線Lに至る。Lは、メッセージがもたらされるべき局に繋がっている。
 
302 Receiving a Telegram

電報を受ける
同じ電線が図の上に見て取れる。そこから電流は保安器Mを通り、ガルバノメーターを通って、受信機の電磁石に入る。電磁石を通過後、電流は電線Tを通じ、大地に失われる。  
303 Morse's Manipulator

モールス送信器
木製の架台の上に置かれた金属製のレバーkhであり、水平の軸の周りを旋回(?)する。
304 Morse's Receiver

モールス受信器
受信機は電磁石Eでできていて、電流が流れると、いつでも、梃子mnの端に取り付けられた軟鉄の接局子mを引きつける。他端nには接点xが付いていて、可動の細切り紙abを押しつける。  
305 Electro-Magnetic Motor

電磁気モーター
電磁気学の原理を機械類の推進に用いることについては、多くの努力がなされてきているが、部分的にしか成功していない。サンクトペテルブルクのヤコビは、この種のエンジンを1838年に組み立てたが、そのマシンは12人の人間を載せたボートを駆動することができた。それからというもの、多くの異なるタイプのマシンが組み立てられてきた。しかしながら、すべての事例において、それらを稼働させようとすると費用がかかりすぎてしまい、経済的に引き合う利用ができていない。
図は、M.フロムの設計にもとづいて組み立てられた電磁気学的マシンを示す。これは、2つの軟鉄片(P)に作用する、4つの電磁石からできている。図中には軟鉄片Pのうち一つしか見えていない。これらの軟鉄片は電磁石(EF)に引きつけられるが、アームを通じて、水平軸の一端に取り付けられたクランク(m)に動きを伝達する。水平軸は鉄製のはずみ車につながっており、はずみ車は動きをなめらかにする。同じ水平軸には、これより大きな径の金属(n)が取り付けられている。これの利用法については、以下に説明する。
バッテリーからの電流はAに入り、鋳鉄製の台(B)を通じ、次いで様々な金属部品を流れて水平軸と部品nに到達する。そこから電流は、電磁石EFとefとに交互に流れる。この交互に流れる電流を発生させる方法は、右上の部分拡大図に示されている。すなわち、この図は部品nとその付属品を示す。部品nには、断面図eで表される「カム」と呼ばれる部品が取り付けられており、一回転ごとに、二つのパレット(「へら」)a,bに、逐次的に接触する。この接触により、電磁石に(羽根のない矢印で示される)電流を伝える。図中、羽根のある矢印はマシンの動きを示す。
二つのパレットa,b、次いで電磁石システムEF,efを交互に電流が通過すると、部品Pは、まず一方に引きつけられ、次に、はずみ車の水平軸から見て、反対側に目一杯引きつけられる。これが繰り返される。その結果、連続した回転運動が起こる。この動きは駆動ベルトにより、一連の車輪に、そして、このマシンの目的であるポンプに伝えられる。
306 missing       
307 Induced Current

誘導電流
実験によれば、誘導電流は、その他の電流の有する性質を、全て有している。電気火花も発生するし、荒々しいショックも与えるし、水や塩などを分解するし、磁針にも作用を及ぼす。
誘導電流は電線が長いほど強力になる。したがって、通常は、図のようなボビンに巻き付けられる。
図のコイルは、ボール紙の筒に粗銅の電線を三百回巻いた物である。誘導コイルである。これらの電線は、絹ばかりでなく、ガムラックの絶縁ワニスでも覆われている。
308 Physiological Effect

生理学的効果
電流はある種の疾病、特に神経系に関連した疾病の治療に用いられる。電気は、動物の活動(economy)に強力な作用を有するので、賢明な用い方をすれば、驚くべき治癒力を有する。

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