電磁気学の原理を機械類の推進に用いることについては、多くの努力がなされてきているが、部分的にしか成功していない。サンクトペテルブルクのヤコビは、この種のエンジンを1838年に組み立てたが、そのマシンは12人の人間を載せたボートを駆動することができた。それからというもの、多くの異なるタイプのマシンが組み立てられてきた。しかしながら、すべての事例において、それらを稼働させようとすると費用がかかりすぎてしまい、経済的に引き合う利用ができていない。
図は、M.フロムの設計にもとづいて組み立てられた電磁気学的マシンを示す。これは、2つの軟鉄片(P)に作用する、4つの電磁石からできている。図中には軟鉄片Pのうち一つしか見えていない。これらの軟鉄片は電磁石(EF)に引きつけられるが、アームを通じて、水平軸の一端に取り付けられたクランク(m)に動きを伝達する。水平軸は鉄製のはずみ車につながっており、はずみ車は動きをなめらかにする。同じ水平軸には、これより大きな径の金属(n)が取り付けられている。これの利用法については、以下に説明する。


バッテリーからの電流はAに入り、鋳鉄製の台(B)を通じ、次いで様々な金属部品を流れて水平軸と部品nに到達する。そこから電流は、電磁石EFとefとに交互に流れる。この交互に流れる電流を発生させる方法は、右上の部分拡大図に示されている。すなわち、この図は部品nとその付属品を示す。部品nには、断面図eで表される「カム」と呼ばれる部品が取り付けられており、一回転ごとに、二つのパレット(「へら」)a,bに、逐次的に接触する。この接触により、電磁石に(羽根のない矢印で示される)電流を伝える。図中、羽根のある矢印はマシンの動きを示す。
二つのパレットa,b、次いで電磁石システムEF,efを交互に電流が通過すると、部品Pは、まず一方に引きつけられ、次に、はずみ車の水平軸から見て、反対側に目一杯引きつけられる。これが繰り返される。その結果、連続した回転運動が起こる。この動きは駆動ベルトにより、一連の車輪に、そして、このマシンの目的であるポンプに伝えられる。