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CHAPTER Z
第七章
ACOUSTICS.

磁気


Fig.        
237 Distribution of Force in Magnets

磁石における力の分布
磁石が鉄を吸いつける力は、磁石のあらゆるところで同一というわけではない。吸引力はその両端で最大であり、中央にかけて減少し、中央では全くなくなる。
このことは、棒磁石を鉄粉の中に差し込むことで示すことができる。棒磁石を引き抜くと、鉄粉が図のように付着するのが見られる。
棒磁石全体を鉄粉の中に転がすと、鉄粉が両端に付着するが、中央部には着かないことが判る。
吸着力が最大になる両端は、「極」と呼ばれる。中央部、すなわち吸着力がないところは、イクウェイター(赤道?)、あるいは、ニュートラルライン(中立線)と呼ばれる。
  
238 Curves around Poles

磁極の周りの曲線 
磁石の鉄に対する作用は、中間に介在する物体を通り抜けて起こる。磁化された鉄の棒に紙をかけ、微細な鉄の粉をふるいを通してかけてやると、図のように、鉄粉は規則性のある曲線をもって、両極の周囲に並ぶ。中立線のあたりには、何の動きもない。すなわち、鉄粉は通常の表面におけると同様に落下する。   
239 Magnetic Needle

磁針
二つの極が軟鉄に及ぼす作用を比べると、どちらの極についても同一の現象が見られる。しかしながら、二つの磁石が相互に及ぼす作用を比べると、そうはならない。旋回軸上に磁針abをバランスさせ、ついで棒磁石を手に持ち、近づけると、そこでわれわれは奇妙な現象を観察することになる。磁針の極aが磁石の極Bに引き付けられるとすると、極bは押しやられる。逆に極aが押しやられるなら、極bは引き付けられる。
これらの現象を説明するため、二種類の磁気流体があるという仮説が立てられた。すなわち、二種類の微細な物質が、磁石の分子の周囲に存在し、各流体は、同種のものを反発し、異種のものと引き合う。
この仮説に従うなら、物体の相対する端にこれらの流体が分けられ押しやられる時に、物体は磁化されることになる。二つの極における差異は、各極において優勢な流体の性質によって引き起こされる。同一の流体を含む極同士は反発し、異なる流体では相互に引き合う。
240 Magnetization of Rings

リングの磁化 
……
もし、棒磁石を、鉄の環のような、磁性体に当てると、磁石は環を、今述べたような態様で磁化する。ついで、第一の環を第二の環に当てると、第二の環も……第三の環、第四の環……。そして、図のようになる。
 
241 Child's Toy

子供の玩具
図は、良く見かける子供の玩具である。ガラスで出来ている小さな白鳥は、頭部に鉄の小片が入っている。これに磁石を向けると、それが置かれているところの水面に沿って、白鳥は接近する。磁石をパンの中に隠すこともでき、そうすると、白鳥はパンを餌にもらおうというような動きを見せる。
242 Directive Force of Magnets

磁石における指向力
永久磁石を水平方向に自由に回転するようにバランスさせると、数回振動した後、一定の方向を指す。この方向は、北と南に大変近い。
図は針をバランスさせるやり方を示す。北と南を指している。図において、南方性(austral)流体を含む極をAで、北方性(boreal)流体を含む極をBで表わす。
243 Compass

コンパス
磁石が磁気子午線に沿うという性質は、コンパスを製作するのに応用されている。  
244 Dipping Needle

傾斜コンパス 
傾斜を示し、これを計測するために、磁針は図のように装着される。磁針は水平な軸に懸架され、上下に自由に動けるようになっている。傾斜量は、円あるいは四分円に目盛りをしたもので示される。図における傾斜は、54度である。これは、針と水平面がなす角度である。どのような場所であれ、磁針が磁気子午線に沿った面内にあるとき、最大の傾斜を示す。
245 Magnetizing by Friction

摩擦による磁化
鉄の棒、コンパスの針は、通常、それらを他の磁石で擦ることで磁化される。「シングルタッチ」、「セパレートタッチ」および「ダブルタッチ」の三つの方法がある。
図は、シングルタッチである。
 
246 Double Touch

ダブルタッチ
ダブルタッチである。  
247 Bundle of Magnets
-Armatures

束状磁石
−接極子
束状磁石は、束ねられた一群の磁石である。同一の極が揃うようにされている。
ある場合は図245のような直線的な棒であり、ある場合は本図のような馬蹄形である。
磁石は、そのままにしておくと、短い時間でそのパワーの多くを失う。そこで接極子が用いられる。
接極子とは、軟鉄片であり、二つの極に接触するように置かれる。図のabが接極子である。
接極子への誘導作用により、(磁石の)極は、aを南方性の、bを北方性の極に変化させる。これらの極が磁石ABに反作用して、二つの(磁気)流体が混じり合うことを防ぎ、磁力を保つ。接極子は、時に、「キーパー」と呼ばれる。

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