[ 金谷宿にて ] |
ウロ覚えですが金谷の宿は、あの広重のあの東海道五十三次に登場しております。「あの」の二乗級の超有名宿場町です。従って駅前には、銀行やコンビニの一つや二つ、あるに相違ありません。すると、CD・ATMもあるに違いありません。財布が薄いことには家を出るとき既に気付いたのですが、わざわざ新幹線駅の周辺をウロウロして、混雑したバンクに行かなくてもよいのです。確信に満ちてJR金谷駅で列車を降ります、と、そこには、ない、何にもない。普段遣いの住宅程度があるだけです。すると、今夜の宿代はカード?
しかし大井川沿いでは島田に次いで殷賑を極めている(はずの)金谷宿、ここの金融事情がこれでは・・・これから踏み分けていく奥の川根でカードが通じるという保証なんぞ、全然ありません。クレジットカードというシステムが、未知である可能性もあります。いえいえ、銀行ですら。
やはりこの金谷で、現金か藩札か三井
or
鴻池の道中小切手を入手しておく方が安全です。幸い、大井川鐵道に乗り換える時間は30分ぐらいあります。で、JRの駅員さんに銀行かATMのありかを尋ねます。駅員さんはATMのことを理解しませんでした。しかし、静岡銀行なら徒歩5分のところにある、と教えてくれました。教えられた方向、駅から直線下ルの長大な坂道を見下ろします。銀行なら巨大看板を出しているはずです。徒歩5分なら見えるはずです。しかし、見あたりません。不安の天使が横切ります。そこで即決心します。大枚をはたき、タクシーを使うことにします。つまり、運転手さんをガイドにしてしまう作戦です。この直観に救われました。シズ銀金谷支店は、結構走ったところにありました。ちょっと混んでましたが、無事、日本国通貨が入手できました。二両編成列車にも間に合いました。
銀行々には、往復も含め15分ほどかかりました。あの坂道、最初見下ろしただけあって、駅までの還り道は、延々たる上り坂でありました。これを歩いていたら、と、思わずゾッとしたことです。そういえばマ島では、どこに行く場合も、現地のヒトに所要時間を尋ねると、「10分」という応えが返ってきたものです。このことを無意識に思い出していたのかもしれません。もう一つそういえば、です。広重の「五十三次之内金谷」を改めて眺めてみると、茫々たる大井の河原が広がり、遙か奥の方に小さく小さく金谷宿が描いてあったのでした。銀行や両替商があるのかないのか、そんな情報は皆無です。自分の記憶も5分・10分クラスでありました。そして「長い坂」です。あれは大堰(イ)川から牧ノ原台地に昇る、長く険しいことで有名な坂だったらしく、「金谷坂」という立派な名前まで付いていました。
2003/10/29(Wed)
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