☆★☆- ホンの幕間 -☆★☆

2003/05 << HOME >> 2003/03

[ 悪の枢軸 ]
「悪の枢軸」問題も一段落したらしいので、あのジュニアの英語の検証でもしてみましょう。大体が Axis of Evil とか Evil-axis とかじゃ、何のことか判らないというのが、言語学的常識ですよね。これは、目の前の人間に向かって、ただただ、「馬鹿」だとか「人非人」だとか言っているのと同じで、プロレスのプロボケイションと一緒です。要するに、無意味ですね。相手を怒らせる、あるいは、味方を興奮させる、ひとえにそれだけのための発言です。

それでは、大々先輩の「悪の帝国」はどうだったのでしょう。Evil Empire ですね。これは一応、意味が通っています。さすが元ハリウッドスターです。せりふには気を配っていますか。さすがに、スターウォーズを実践した大統領だけのことではあります。しかし、悪の帝国があるのなら「善の帝国」もあるのでしょうか。これは、アルツ・レーガンもそこまでは考えていなかった、というのが本当のところでしょうね。「帝国には、善も悪もなかりけり」です。

帝王学というものがありますが、この学問は何の価値観も有していないこと、これが唯一の特徴のようです。単に、雑多な人民、民族、階級を、あるがまま、ゆくがままに統治するための方法論にすぎないということのようです。秦の始皇帝が学んだものこそこれであり、カエサルが辿りつきそうになったものもそれであったようです。価値観がないというのも言い過ぎかもしれませんが、要するに、非戦・平和のための統治の学問が帝王学であったようです。

ジュニアは、父親と同様な戦争を起こすために、「悪の・・」と発言したのでしたから、決して帝王の学を持ってはいなかったのです。以上論証終わり、です。
2003/04/28(Mon) 晴れ


[ 星の虹(スターボウ) ]
やっとミドラーの表紙のバリ取りが概ね終わりました。自然な色の階調変化のためのツールとして、ディザリングは大変便利なんだけど、どうしてもバリが残ってしまいます。こいつを、ドット・ドットと潰していくのは、辛気くさいし目には悪いしで、困ったものです。都県境にはあるけれどもY県のK村が、実は、経済・生活の大部分をT都はO市に依存せざるを得ないようなもので、合併問題そのものですね。妙な例示ですいません。K村長さん、本当にゴ・メ・ンなさい。フォローはします。

で、標題の話です。こないだからずっと考えていたのだけど、答えが出ていなかったのでした。この小咄は、亜光速で航行している宇宙船の船首方向の窓外風景に関するものです。例の救急車のピーポ・パーポのアナロジーなんですが、前方の星の光は宇宙船の速度が加わって青白く見え、逆に、後方の星は赤く見えるというグラデーションなお話です。スターボウとかいうロマンチックなネーミングのせいもあって、その筋(?)の方々の夢をそそってきています。で、妖怪「水差しおやぢ」の登場です。

スターボウを、0.99光速の宇宙船から見たら…なんてシミュレーションをするソフト、こんなもんまで作るお節介なヒトがいたりするもんだから、結構な(オタクの)話題なんですよね。でも、これは根本的におかしいんじゃないの、か、と、しばらくの間考えてきていたんですよね。光速度一定の原理は実験的にも検証されているんですから、前から来ようが後ろから来ようが、秒速約30万kmのはずです。ドップラーシフトは原理的に起こるはずがないんです。何かあやしのカオリちゃんなんです。

この大きな勘違いは、あの有名な赤方変移から来ているんじゃないか、と、最近気付いたわけなのです。ハンサムでダンディーなウィルソン天文台の主任天文学者、かのハッブルが発見したものです。しかしパイブが似合う人です、彼は(楽ガキ)。遠い星ほど速い速度で我々から遠ざかっている、というやつでした。これをドップラーシフトと混同すると、妙な「虹」が見えてくるんですね、中学生には。しかし違います。ハッブルのレッドシフトは、この宇宙空間の膨張の話なんです。

ドップラーの音程シフトにこの話を無理矢理当てはめるなら、救急車は停まっていてもいいんです。音を聴く人と救急車の間の道路が、何故か、どんどん延びていく、あるいは縮んでくることに相当するんですね。そんな奇妙な道路があるわけはないですけど、この宇宙空間では、任意の二点間は、どんどん延びているのです。これがハッブルの発見なのです。その結果、レッドシフトすなわち赤方変移が観測されるのでした。空間と大気、どちらも「場」で一括した誤解、これで通俗科学は一段落・おしまい?

いえいえ、そうではありませぬ。そう、空間を歪めてしまえば星の虹が見えるはずなのです。ここいらでテバの苦労が本格化したのであります。空間を歪める方法、それは一般相対性理論では二通りありました。しかも二通りしかありません。重力場と加速度運動場なのです。重力場を用いる方法は、なかなかのオオゴトです。重力を偏在させなければなりません。宇宙のあらゆる銀河を配置換えするんですけど、やってみます? そこで、もっと簡単なのは、加速度運動です。これも結構大変だとは思います。何故なら・・・

1Gぐらいの等加速度運動(人類にはこの程度が一番快適)では、とてもスターボウは鑑賞できないはずです。詳細な計算はオタクに譲るとしても、星の虹が見えるためには、人体がペチャンコになるぐらいのとてつもない加速度が必要なはずです。これが、当面の一応の結論です。ブラックホールに突入するくらいの覚悟が最低限必要であることは間違いないようです。宇宙を虹にするのですから簡単な話ではなかったのです。しかも光路差問題(視野狭窄症?)というのもあるようですので、そんなにキレイなのかどうか。

でも、通俗科学というロマンに満ちた世界を切り捨てる。ってえのも、これはあんまり感心した態度じゃないのかも・・・そうは言っても、一応答案は書けたのだから、安眠できるし・・・かな?
2003/04/26(Sat) 晴れ


[ 表紙の話 ]
春なのでしょうか。心そぞめき、久しぶりに表紙の絵を替えてみました。題して「天上の庭園」だそうです。15世紀の細密画ですね。もちろん作者不詳です。子孫の方々から版権と使用料を主張されたら破産してしまいますからね。このクリッカブルマップを作ったのもフリーソフト。というわけで、万事、安あがりな貧乏サイトなのです。でも、この絵には、安いばかりではなくて、安らぎも感じませんか。そう、中世が完成の極に達していた頃の作品なのでもありました。

解説によれば、現在、フランクフルトの美術館に飾られているそうです。1420年当時の某マイスターの作ともあります。この年には、ジャンヌ・ダルクも未だ8歳でした。父親の家の裏庭で、おままごとをやっていた頃でしょう。その当時は、フランスの大統領も外相も弱腰だったらしく、ブルギニョン大公が、英国の理不尽な要求に屈し、売国的なトロア条約を結ぶことに抗議すらできず、手をつかねていました。地上が地獄であるほど天上の美と安らぎが想われるのでしょう。

ま、兎も角、これでしばらくは行きます。(楽ガキに)
2003/04/22(Tue) 晴れ


[ 気づくよろこび ]
真夏日だとかだそうで、とんでもない温暖化のハシリなのでしょうか。皆さま、健康にはくれぐれもご留意を。それはそれとして・・・

「すあま」という和菓子がある。テバはどちらかというと辛党だけど、これは好きです。でも何でスアマなんだろう、と昔から疑問だった。甘いだけで酸っぱくはない。・・・ううん、このまま判らずに生涯を閉じると思うと、やりきれない。残念無念、一生の不覚である。

で、全然関係のない本を読んでいたら、お正月や宴席のおり、料理を盛りつけたりする縁起物としての飾り盆台に「州浜島」というもがあったという説明とともに、挿し絵が載っていた。この形がスアマの形にそっくりだった。そう、州浜が音便変化を起こしてスアマになったのだった。

「すねこすり」という妖怪がいる。嵐の夜などに出現し、道を急ごうとする人の脛に絡みつく。仔犬がじゃれつくのかと思って見下ろしても姿は見えない。この妖怪に出会った人は、結構多いことと思われる。しかし古い墨絵などを見ると、ネコの絵が描いてある。不思議だ。

最近、はっと気づいた。ネコの仔は人の足許にじゃれついたりはしない。ここは当然イヌの仔が自然だ。しかし、もう一回「脛擦り」をよーくよく眺めてみよう。ほら「すネコすり」ですよ・・・ちゃーんとネコもいたじゃないですか。こんなことに気づくと、一日中嬉しい。
2003/04/18(Fri) 晴れ


[ 千代田区有情 ]
近所にある区役所の出張所に、昨年ごろからタレ幕が掲げられています。曰く、

 街の中 熱いタバコと 冷たい目

秀逸なお作であります。さぞかし名のある俳人が詠まれたものなのでしょう。都会の人々、特に千代田区民の冷たさ。酷薄なその目といったら!・・・ このような仕打ちに耐えようと、タバコのささやかなぬくもりに縋ろうとする・・・区外からの通勤者の孤独と哀愁、こんな情景が五・七・五の中に、見事に凝縮され表現されていますね。
2003/04/16(Wed) 晴れ


[ 官邸のソファー ]
あのフランク・ロイド・ライト設計の旧官邸には、何度か出入りした。総理応接室にも数回招じ入れられた。2.26などの歴史の幾星霜を見聞してきた場所である。しかし、意外だったのは、家具調度の古色ぶりであった。帝国ホテルとまでとは言わないけれど、もう少し豪華・上等なものが揃っているのか、と思っていたのだ。相当名のある職人の作なのではあろうが、いずれも骨董品みたいな、古ぼけた印象だった。しかし安心もした。これがこの国の感覚なのだろうと思えた。

この国では、霞ヶ関や永田町に外国軍が侵入したからといって、一般国民が、わざわざ荷車を押して、家具や電化製品の蒐集に出かけたりはしないと思えた。バグダッドで起きていること、いわゆる「略奪」のような事象は発生しないのだろう。ラムズ・・とかいう米国閣僚が「犯罪を犯す自由も出てきたので・・」とか言っていたが、とんでもないトンチンカンだ。これは、一国のあるいは一民族の富の循環の様式の問題なのだ。ボストン茶会事件の本家本元に間違って貰っては困る。

シンドバッドやアリババの往古から、あの地域では、富というものは、権力者にとっては、いやが上にも積み上げるものだった。人民に分け与える性質ものではなかった。この習慣こそが、砂漠とオアシスという強烈なコントラストの世界での、唯一のありかただったのだ。ピラミッドを見よ。あの石塊の目的が何であったか、それは今でも謎なのだろうが、あの地域には一般庶民の歴史的痕跡は皆無なのだ。庶民なんぞは、砂漠の砂以下のもにすぎない。ファラオの知るところではない。

こうした風土では、一旦、政権や体制が崩壊すると、富の再配分の過程が始動するのである。バビロンの塔が崩壊すると、その石材は庶民の家屋に流用されだす。これを「略奪」と呼ぶことが、すでに、西欧型の思考過程に毒されていることの証左なのだ。砂漠の民にとっては当然の行為なのだ。AMAMとかいう秘密警察、サダムフェダインとかいう私設的国営暴力団、これらを駆使して収奪した富に過ぎない。自力救済で回収して何が悪い・・・大衆的ポトラッチ・・・当然だ。

ところで、少し落ち着いたら、バグダッドのスークなんかにショッピングに行くのも良さそうですね。あの50を超える宮殿から放出された最高級絨毯などが、膨大かつ格安に売り出されていますよ、きっと。

[ポトラッチについては、テバピラ第11話「贈与論考」参照]
2003/04/13(Sun) 晴れ


[ 決意・断行 ]
「良い綿の種を持っていけば、よい綿が取れ、兵卒に良いシャツを着せてやることができる。よい大豆を持っていけば、よい味噌を造って兵卒に食べさせることができる。我が帝国の学術の粋を集めた優良な品種を持っていこう」

こう決意し、一部の農学者の反対を押し切ったのは、フィリピン派遣軍参謀長(少将)である。大日本帝国の科学技術の粋とでもいうべき優良品種を携えていった。アメリカが営々と開墾して造成したサトウキビやトウモロコシの畑を、綿畑・大豆畑に改変した。結果は・・・綿も大豆も、温帯の柔らかな植物は、熱帯の害虫の絶好のご馳走になっただけだったという。

某・将軍様が、風土を無視してトウモロコシでやった失敗を、それ以前にやった、大先達ともいうべき帝国軍人がいたのだ。比島占領は3年程度で済んだからよかった。もう少し長引いたら、凄惨な飢饉が起こっていたことだろう。決意し断行する、これは立派な軍人の要件だというが、熱帯の虫にさえ歯が立たなかったようだ。瞑すべし、瞑すべし。
2003/04/07(Mon) 晴れ


[ WMD ]
どうしてこんな戦争になったのか? もう一度振り返っておこう。ヒートアップしたきっかけが、例のナインイレブンであったことは間違いない。あれからアフガン征伐が行われた。その大義名分は「悪の枢軸」退治ということだった。名指しされた極東の某国などは、このおかげでかえってスポットライトを浴び、今でははしゃいでいる様子さえ見てとれる。

「悪の枢軸」入りする資格はというと、大量破壊兵器(WMD)を保有していることと、テロリズムを信奉していることらしい。アルカイダの場合、このWMDは米国の国内線旅客機であったのだが……。イラクはBC(生物化学)兵器、極東の某国はN(核)兵器とさまざまである。テロリズムと戦争の違いは何か? 国家の主権の発動の有無なのだろうか?

宣戦布告? でもなさそうである。イスラム世界では、多くの国や団体が、大分以前から米国に「聖戦」布告を繰り返している。WMDを米国(あるいはせいぜい常任理事国)以外が持つと悪の枢軸になる、という主張としか理解できないところがある。大量のICBMだって、旧ソ連が保有していたからこそ「悪の帝国」呼ばわりされたのであった。

ベトナムで開発されたデイジーカッターがアフガンでは使用された。そして今回は新製品「全ての爆弾の母(MOAB)」が使われた。これらはWMDに分類されるという。イラクは米国に対して化学兵器を使ったことはない。使った相手は、ペルシャ人、国内のシーア派そしてクルドであった。あのナインイレブンのとき万歳したのは軽率だったと思うが。

結局、米国に向けられた暴力行為はテロリズムであり、米国が外に向ける場合は国家主権の発動としての戦争(聖戦)か? これ以外、違いは見あたらないことになりそうである。そして大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction)、これの定義も不思議なものだ。「破壊」なのか「殺戮」なのか、結構いいかげんなところがある。

プロレスラーもデストロイヤーだったり、軍艦なら「駆逐艦」になるし、時には「死の天使」にもなる。所詮、超常の世界の出来事なのだろう。某大統領の精神分析を、ユング先生の深層心理学でやってみたらどんなものだろうか。某国の普遍的無意識、あるいは集団的記憶に関して、結構面白い結論が出てきそうな気がするのだが。
2003/04/06(Sun) 晴れ


[ 窓うつ嵐に ]
昨夜から凄い風雨である。まあ、花粉も叩き落とし、洗い流してくれるのだから仕方ないが、これで桜も終わりかなと・・・オオサカデ〜ウマレタ〜。月曜日は旧年度で、火曜日からが新年度という一週間だった。シンゾーで入院していたT君などは、月曜日に退院の挨拶をメールして寄越したと思ったら、水曜日には転勤の挨拶と新メルアドの通知をメールするという慌ただしさ。これじゃあ本人も心臓に悪かろうと思ったが、すでに入院も退院も済ませている訳。こっちの心臓がおかしくなりそうな展開だった。

テバも、知らないヒトぞ知らないけど、中小零細企業幹部の第一ラウンドが終わった。いやあ、何もかも自分でやるべし、こんな経験は初めてだった。昔、研究職だったころにそんなことがあったかな、程度の記憶がある。うまくいった時はバルセロナ(自分を褒めてあげたい)でよいのだが、うまくいかない時は自分を叱るしかない。古今東西、宇宙で一番小さな因果応報の輪の中で生きてきたことになる。日本一のメガバンクからトラバーユしたHTさんの心境が、妙にわかったのである。ツ・キ・ス・ミ・・・

第二次バビロン戦争もそろそろ終わりそうだ。多分、アメリカ時間の土日あたりにクライマックスを設定してあるのだろう。数兆円をかけたショーなんだから、視聴率も歴代トップを狙いたいだろうしね。そうして多分、ジュニアは次の選挙で落選するんでしょう。メリハリのきついアングロ・サクソン族、彼らに独特の選球眼がはたらくと思いますよ、きっと。ティクリット出身のおぢさんには気の毒だったけど、これも、バビロンの栄枯盛衰譚に千と二番目の逸話を付け加えたのだから、もって瞑すべし、です。

そうそう、昨夜は、大先輩がフグ(フク?)を馳走してあげるというので、いそいそと出かけたら、案の定、季節切れとかで平々凡々な懐石料理だった。当然といえば当然、桜と河豚なんて季語でも大ズレよね。しかし、大先輩のグチはしっかり聞かされた。これは季節を問わず年中無休。そのテーマは「謝る」だった。年金受給直前の仕事なんて、自分に無関係な若い連中の仕事の失敗を謝ってまわることしかない、という主旨。自分自身のミスを謝ることに比べれば、ずっといいんじゃないでしょか、と精一杯適当に励ました。

大昔、大快晴の駒ヶ岳に登り、テントを張ったことがある。未明、激しくテントを叩く嵐に叩き起こされた。人生、あれから、あまり変わっていないのかな。
2003/04/05(Sat) 雨


[ 懐かしいような ]

 さよなら みなさま
 さようなら ごきげんよう
 ……
 ……
 お別れいたしましょう 
 またあうその日まで
 さよなら みなさま
 さようなら ごきげんよう

という歌がありました。南米の人たちが歌ってました。何故か懐かしさを感じさせる、これって何だったのでしょうか。

メロディーも、もう思い出せません。そういえば、もう四月になっていたんですね。桜、五分咲き、週末には、ハラリ。
2003/04/01(Tue) 晴れ