朱鷺の玉手箱
2 私の町(ほんとは村なみです・・・)には、私が子供の頃には、 肉屋と言う物が有りませんでした。 肉類は、狩猟の季節にハンターから貰った雉、里に暴れこんだ熊等が、 まれに口に入る程度でした。 背の立たない碧の淵を泳げるように成るのが、 お兄ちゃんになる切符だったような・・・ 文化・・・発展・・・この国は何故こんな風になってしまったのでしょうか? エライ人は豊かになったと言います。 一年中なんでもあります。お金を出せば買えます。でも・・・
麦藁帽子をかぶっていたあの暑い夏の日・・・ 川でくたくたになるまで泳いだ帰り道・・・ 畑からもいできた真っ赤に完熟したいびつなトマト・・・ 水で洗って塩かけてガブッと・・・口イッパイに夏臭さが広がる・・・ この国はあの夏の日のいびつなトマトをどこに忘れてきたのでしょうか? |