<テバコラ 第21話>


☆野に咲く花はどこへ行った?☆(2000/02/12)


国際会議の案内パンフを眺めていて、エッと驚きました。


ジェンダー、ユース、NGO、カンパニー、って何だ? 

これは何のおまじないだ……?最初は良くわかりませんでした。

実は、こちらの方々こそ、            − 頭が高い! − 

今を時めく、「メジャー・グループ」と呼ばれる方々だったのです。

昨今、テレビに映る国際会議などを見ていても、G、すなわち政府系の

会議の横では、かならず、このメジャー・グループの集まりが開かれています。

いやいや、開かれているといった消極的な話では済みません。

主催者側も大いに気を遣い、わざわざ会場・プログラムなどを

用意して差し上げなければならないような、一大勢力らしいのです。


ほんの2〜30年ほど前の光景を思い出してみます。

Gの会議が行われている会場の周辺を、こうしたグループは、

プラカード片手に声を張り上げ、三々五々街頭デモしている、

という情景が当たり前でした。それが現今では、広壮な豪華ホール、

立派な印刷プログラムを提供され、コーヒー・サービス、

サンドイッチ・サービスまで付けてもらっているようです。

手許のパンフでは、メジャー・グループ専用の、歓迎レセプション

まで用意してあります。


以前は、アルマゲドンの彗星の如く、突然闖入してきた迷惑なお客さま、

というような目で見られていた彼らが、今や、木星、土星の如き巨大惑星と化し、

G系の地球や火星がせわしなく運動しているさまを、悠々と睥睨しているのです。

驚くべき変化の時代を生きてしまっていたのです。


可憐な娘たちは、獰猛なジェンダーに変貌しました。世間知らずの若造、

と軽く扱われていた青年は、ユースとなりました。1本10円の緑の羽は、

グリーン・ピースを筆頭とするNGOスーパー・パワーです。

業者までもがカンパニーと呼ばれ、最大限の敬意を払われています。


バロックという言葉は、「歪んだ真珠」、バロッカを語源としているようです。

そうです、中年の園の住人にとっては、ミキモト・パールの真球純白こそが

美である、と教え育てられてきたものが、突如、琵琶湖真珠の方が

ずっと美しいよ、と言い渡されたようなものです。

「うーんとバロック」、などと、内田春菊風に感じてしまいます。


二十世紀はコペルニクス的転換の宝庫、と後世から評されるのでしょうか。

それとも、まだまだ続々と、この種の転換は起こるのでしょうか。


もっともゴシックだって、最初は褒め言葉ではなかったようですね。

「ゴート族の」という、地中海の古典的精神横溢の世界から見た、

さげすみのニュアンスがあったようです。それが、その代表格のケルンの

大聖堂なんかも、今じゃもう、メジャーな観光地になってますから。


Where have all the flowers gone?

ブラ・フォーさん安心してください。若い娘たちも、彼女らの亭主たちも、

みんな元気でメジャーになってます。誰も、むざむざ墓場には行ってませんよ。


(後記)それにしても、「中年の・男性の」メジャー・グループは?

    カンパニーだよ、ってんじゃ寂しいもんネ …… 何となく