<テバコラ 第10話> *コンピュータの画期的二大テクノロジー* あなたはもう、うすうす耳にしておられるだろうか 21世紀冒頭に、PCに巨大な革命が起ころうとしている あのLinuxのことではない その中心となるのは、MFFとC/UCPUという二大画期的テクノロジーである
【フリップフロップの多段階制御技術(MFF=Multi-step controlled FlipFlop)】 20世紀後半を強烈に性格付けたディジタル技術、その中心ともいうべきフリップフロップは、 従来、真空管・ダイオード・シリコンといった素材の如何を問わず、1ビットあたり「0と1」の 二つの状態量しか表現できないというのが常識だった これに対し、MFFは、1ビットあたり、たとえば10ステップ型なら、 0、0.1、0.2、……、0.9、1というように11の状態を記録できる (更に、0、1/20、2/20、……19/20、1[20ステップ型で21状態]等々も 理論的に可能とされる) フリップフロップ制御用のパルスを量子化し、量子パルス特有のトンネル効果から生じる シリコン内部の物性上の微妙な歪みを状態量として認識(読み出し、書き込み)する技術が応用される
半導体(semi−conductor)に対し、こうしたデバイスを多導体 (multi−conductor)と呼ぶ この技術がどのくらい凄いものかといえば、例えば、現在主流の32ビットマシンが表現できる数値が、 整数の場合、約(2の32乗)すなわち約43億でしかなく、世界の人口すら記述できなかったものが、 10ステップ型MFFでは約(10の32乗)つまり1兆の1兆倍のさらに1億倍であるという ことからも実感できよう あるいは、在来の32ビットマシンの能力を、MFFなら、 たった10ビットで悠々とカバーできるということである あの「ニン○ンドー64」の同等機が、MFFなら「ニン○ンドー20」になってしまうし、 20ステップ型MFFを使うなら「ニン○ンドー15」ということで、 高性能化とともにシリーズナンバーが減少していた、1970年代のIBM大型計算機のような 現象が再来する また、メモリー空間も同様の比率で一挙に拡大する メガバイト級のRAMやHDが、いきなりテラバイトになる 現在ギガバイトに安住しているあなた、この時代は、ほんの一瞬で過ぎてしまうことは確実だ
当然、演算速度も飛躍的に向上する これはビット数の2乗に比例する基本的性格を持つから、同じビット数で10ステップ型MFFなら 10倍以上に、20ステップ型なら20倍近い処理速度が得られる
これに、次に述べるクロックシェアリング技術を併用すると、Enterキーに触れる前に 計算が終わってしまう、ということが冗談とは言えないPCが登場する
【CPUの時分割超々高速化技術(C/UCPU=Clock-shared/Ultra CPU)】 従来のクロックをサブ・クロック(SC)により分割増殖してやるという原理的には 極めて単純だが21世紀前には実現しなかった技術 お手持ちのPCでも、簡単なサブ・クロック・チップ(SCC)を増設するだけで 一挙に超々高速化してしまう わずかな高速化のためにオーバードライブプロセッサーに大枚を投じた昔が、夢のよう思えてこよう
たとえば従来の500MHzのチップなら、10SC規格のSCCを増設すれば5GHzチップに、 100SC規格の増設で50GHzチップにと、たちまち変身することになる
最も心配される発熱(つまりCPUが「煮え」る現象)の問題は、ソリッドステート・フロスト素子 の開発によって解決された この技術は、日本が世界に誇る旧国鉄技術陣が、リニアモーターカーのための基本技術として 開発したものだが、マイクロデバイスへの応用から、エルニーニョ現象の制御まで、 スケールによらない高・熱効率技術として確立したもの 当然ながら、在来のマシンの増設改良素子の開発にとどまらず、MFFとC/UCPUを統合した アドバンスト・オール・イン・ワン・チップも供給される 【スパコンが姿を消す日】 ここまで進化したPCは、スーパーコンピュータと呼ばれる、例のENIACタイプの、 かさばって不格好なマシン達を、その性能において軽々と抜き去ることになる
スパコンが姿を消す日が遠くない そのトキには、それ以上の高性能マシンが、PCサイズのままあなたの机の上あるのだ
【新たな企業・産業の勃興の時代】 これらのハードウェアの生産ラインを整えるとともに、超々高速・超々大容量マシンに対応した、 これも革命的なOS及びアプリケーションを開発するための新会社、macrosoft(C) の設立に向けての準備が密やかに進行中とのことである ジョージ・ソロスに代表されるユダヤ資本、アラブ王族のオイル・ダラーを中心とした濡れ手に油資本、 胡文虎一族のタイガーバームオイル・ダラーに象徴される華僑資本等々、錚々たる国際資本が 強い関心を示している 日本については、資金力200兆円を超えるザイトー資本の参画が打診されているという噂がある
21世紀には、あなたの想像を超える、全く新たな企業・産業を基盤とした新世界が展開する ことが予想されているのだ (あとがき)HALさんの「煮え」た話といいぐるさんの「21世紀前に実現」を
この手の話は好き嫌いがあると思います テバは、学生時代、科学記者や科学史研究者に憧れたことがありました
今回はあんまり手抜きしてません それにしても、誰か、高性能マシン呉れ! |