<テバコラ 第16話> ☆トキには一服☆(2000/01/16) タバコの最近の情勢についてお勉強してみます。 つまり、あの白い粉の仲間に加えたそうです。タバコには、このニコチンをはじめ、 ベンツピレンやダイオキシンなど、4000種類もの化学物質が含まれていて、 このうち約5%にあたる200種余りが有害物質だそうです。カレー粉が、たった 20〜30種のスパイスだけからできていることに比べると、大層複雑でアブナイ ものだということが実感されます。 だけを取り上げてみても、何と、1000種類以上もの化学成分を含み、しかも 薬効を含め、その多くの成分が未解明なのでした。カレーライスもタクアンも、 複雑なもので、疑えば疑えるモノ、となってしまいますが…… 人間の肺の構造・機能は、原始の森での暮らしなどを通じて、できあがって きました。原始の森の空気中にも、今と同じく、花粉や微小な昆虫などがたくさん 飛び交っていました。こういったものを、人間の先祖も、呼吸を通じて常に吸い込ん でいたのですが、それらの大部分は、気管支のせん毛や粘液でキャッチされ、 タンという形で排出されます。しかし、ごく一部は、こうしたチェックをくぐり抜け、 肺胞(酸素と炭酸ガス交換するところ)にまで到達してしまいます。 ごく一部といっても、積もり積もっていくと大変なことになります。肺胞は三億個 くらいあるとはいえ、ごくごく小さな袋ですから、あっという間に、一斉にゴミで 一杯になってしまうはずです。さあ、困った…… 分解奉行、じゃない分解酵素です。こいつは強力で、肺胞の中に飛び込んできた 異物のタンパク質を、みるみる溶かしてしまうのですね。でも、あれっ、よく 考えてみると、肺胞そのものもタンパク質でできていますよ。この話、胃液はなぜ 胃自身を溶かさないのか、とか、孫悟空に出てくる金角・銀角の強力ヒョウタンは、 なぜ中から溶けてこないのか、という話と同じです。 肺の場合は、アンチプロテアーゼという対抗酵素があって、これがプロテアーゼを 無力化させるように働く、というのが正解でした。 続くと出てきます。逆に、アンチ……は、異物が始末され、肺胞の中の酸素が 回復すると出てきます。 いよいよ核心です。 タバコの煙は、この綱引きを狂わせるのです。なぜならタバコの煙には、 酸素が少なく、炭酸ガスや一酸化炭素がタップリ。すると、異物が飛び込んで 来たと誤解して、プロテアーゼがどんどん出てきます。タバコの煙に繰り返し さらされていると、肺胞の酸素は、なかなか回復しません。すると、アンチ……は なかなか出てこない。結局、プロテアーゼが、肺胞をどんどん溶かし始める という現象が起こります。こうして長い間に、肺はガタガタになってしまうのです。 さあ、もう決心できましたか。禁煙こそ、このアルマゲドンの進行を止める、ほぼ 唯一の方法ですよ。まだ納得がいかないあなた、もう一度冷静に考えてみて下 さい。 「我々はあんなものは吸わない。ただ売るだけだ。 若僧や貧乏人、黒人、そして馬鹿な奴に買わせるのだ。」 と言ったそうです。 とすると、テバも、若僧、…、馬鹿な奴のどれかに該当するんでしょうね。 |