最初に鋳型を用意する。これの精密さが全作業の正否を左右する。蝋、漆喰あるいはグッタペルカが使えるが、後者の方が、現在では優れていると考えられている。常温では、グッタペルカは固いが、加熱すると、柔らかく可塑的になってくる。鋳型を造るには、グッタペルカを温水に浸し、適当な柔らかさにする。次に、コピーされるべき物体の上に、全ての箇所が接触するように、指で押しつける。その後、冷却して固化するまで放置する。固化したら剥がせば、使えるようになる。グッタペルカは物に貼り付く性質があるので、あらかじめ、黒鉛や石墨の粉で薄く覆っておく注意が必要である。
第二のステップは、鋳型に金属を沈積させることである。グッタペルカは不導体なので、これを導体の物質で被覆する必要がある。これは、鋳型を造った時と同様のやり方で、黒鉛のコーティングを施すことで、なされる。鋳型に保持用の金属線を付ければ、電槽に漬ける準備が整う。
右の図は複製されるメダルである。左は、金属の沈積の準備のできたグッタペルカである。沈積について、銅を仮定すると、通常2ないし3個のダニエル電池が使われる。