化学物質を混合すると、電気が起こることは、長く観察されてきたことである。このようにして起こされた電気の形式は様々であるが、その性質は摩擦によって起こされたものと同一である。ある種の化学的組み合わせによって起こされた電気には、ガルバニズムの名称が与えられてきた。これは、この新しい電気の起こしかたを発見したガルバーニ(Galvani)の栄誉を称えるためのものである。
1790年にガルバーニは、殺されたばかりの蛙の体が、摩擦式起電器の近くに置かれ、電気火花が走るたびに興奮を示すことを観察した。これは、すでに述べたリターンショックによるものであるが、これを知らないガルバーニは、この現象の説明を考え始めた。ある日のこと、彼は、死んだ蛙が窓の銅製のフックに吊り下げられているのを見た。そして、風が吹き、蛙の下半身が窓の鉄棒に当たるたびに筋肉の収縮が起こることに着目した。これは、摩擦起電器とは全く関係ない電気の発現である。ここには、近代化学における最も偉大な発見の一つに繋がる手がかりがあった。
この発見は、次のような実験へとつながる。蛙を殺し、下肢部分を切り取る。これを銅のフックcに、背骨および両側の神経を通すように吊り下げる。ついで、亜鉛の小片zを持ち、一端を銅の支柱に、他端を蛙の肢に触れる。接触するたびに、筋肉は収縮し、生きているときの動きを全て再現する。